這い上がる!?

工場労働者の日々の小さな煩悩ブログ

ならしクルーズ。

こんばんは!

 

奴が帰って来た。

購入後、ショップに「長期入院」をしていて、手元にあった時間はホント短かったのだが、一応、現在私が所有するバイクでは一番の「古株」だ。

 

もう3~4年前になろうか。腰痛、背筋痛に五十肩が悪化してエンジン始動が困難になり、生涯乗り続けたいと願っていたショベルヘッド(少し型の古いハーレー)を手放した。さあ次は何に乗ってやろうか。色々考えた末、私のバイク趣味の原点に立ち返る事になった。

 

Z系と言えば何と言っても「MAD  MAX」である。幼少時代の仮面ライダーを伏線に、ここで将来のバイク好きを決定づけた、私の中の「名画中の名画」だ。なにしろ「泣いた」「感動した」ではなく「人生を左右した」のだから。

 

大学時代、将来「トーカッターのバイク」に乗りたい、その一念で(周囲にはんぐりーまん死亡説が流れる程)授業をサボりまくって試験場に通い大型二輪免許を取り、20代の頃はJ型を乗り回していた。予算と当時の車検制度、あとオーバーヒートのリスクで結局諦めたが、フルカウルのMFPレプリカをやるつもりで、Z1やローソンといったプレミアモデルには敢えて手を出さなかった。

 

3~4年前と言えば、既に国産中古バイクの価格暴騰が始まっており、当初Zは候補に入ってはいなかったのだが、長い間ショベルでお世話になった旧車ショップさんに、やりようによっては安く乗れる不人気モデル(と言うより知名度の低い珍車)の在庫がある、と聞かされた。

 

元より珍車好き、しかも根が原チャリライダーだ。「大きいバイクは暫く乗れなくてもいいか。」と飛びついてみたという訳だ。

 

中古バイク、お値段300万ナリ500万ナリと吠え立てるが、商品化すんのにホンマそんな大金要るんか?実際どうなんよ?やはりそこの所も非常に興味があった。

 

で、その珍車だが、おっ!MkⅡ!

と見せかけて、後ろに回ってビックリシャフトドライブだ。

 

Z1000STというモデルである。MkⅡをベースにツーリングユースに振った「姉妹車」だ。相違点として、23ℓ入りビッグタンク、そしてリアのシャフトドライブと5.00ー17インチホイール。これでリアタイヤはMkⅡより1サイズ小さく1サイズ太い物を履く。

 

まさにこれこそが、このモデルの珍車たる所以である。実は業界内ではさほど珍しい車種でもないのだが、そこは人気車MkⅡの姉妹モデル、入荷するやほぼ100%部品でバラ売りされ、そのまま販売、登録されているのは「下手したら数える位」(ショップスタッフさん談)。

 

いやはや、シャフトドライブの空冷Zとか、(珍車好きのワタシ的にもちろん良い意味で)これ程ダサい奴の存在、この商談まで私も知らなかった。メンテナンスフリーだよー、てか。

 

それでは、そんな珍車のスペック(諸元表ではない)など。

 

商談時の写真だ。

一見キレイに見えるかも知れないが、「中古車」としてのランクは最低レベル。まあ大ゴミ状態だ。

 

まずタンク。腐ったガソリンによる腐食で無数のピンホールが開き、水ぶくれのように塗装が浮き上がっているのがこの写真でも確認できる。他にも「長期放置」を物語る車体全体に浮いたサビ、ヨゴレにアセハゲクスミだ。

 

「純正度」も低く、まずパッと見このコンチハンとハーレー用の「ガンファイター」のようなヘンチョコリンなデザインのカスタムシート。あと出所不明のɸ43極太インナーチューブ。という事はフロント周りは大概怪しい、という事になる。

 

むろん不動車。「まずキャブのOHをして、エンジンがかかったらご連絡します。それから商談に入りましょう。」なるほど、キャブはどのみちMkⅡ用補修部品として売れる訳で、まずOHしてもらってもバチは当たるまい。

 

約一週間後に電話連絡を受け、上のご対面写真となった訳だが、「点滴」をキャブに挿し、スロットル半開以上固定で、「ワア~~~~~~ンッ!!!」少しでもスロットルが戻るとプスン。むろんアイドリングなんかしないし、レバーにペダル全て固着して動かない状態であった。

 

現状渡し43万円。これは全バラにしてMkⅡ用に売れる部品の合計がこれ位、との事。明朗会計だ。で、コミコミ100万でどうにかこうにか走れる状態にできると言う。それでサインした。実際は電気系のダメージが予想以上(放置車あるある)で、納車契約代金、登録諸費用込み118万円、これが初期費用であった。

 

部品取り車ならば問題ないのだが、この車両を再生するとなれば、最大のネックがこのビッグタンクとシート。当然純正部品は遥か昔に欠品。その上両者共、フレームへのマウント方法が「姉妹車」とは異なっており、純正、社外問わずMkⅡ用の物は一切流用できない。「今ある物」をリペアして使う以外途はない、という訳だ。

 

ある日進捗伺いにお店に寄った時、タンクリペアの職人さんからお店宛てのメールをプリントアウトして見せてくれたのだが、そいつが残っていた。

内部コーティングのみならず、パテ盛り→磨きも複数回行ったらしく、まるで伝統工芸品の漆塗り並みの手間をかけ、蘇ったタンクだ。

 

一方のシート。このヘンチョコリンなカスタムシートの表皮とアンコを全て削ぎ落し、経年劣化でバリバリに割れ、変形したシートベースを補修する所からのスタートだ。

 

結果。

歪んでいる。

 

モンキーみたいだな。

CB、Zに限っては、こういっためんどうくせー作業を引き受けてくれる職人さんがまだいらっしゃるので、「粗大ゴミ」状態からでも再生できる。

 

但し車種によって、或いは時と場合によって、再生作業にもおのずと「限界」が発生するという話。ここで笑えるか、これが再生中古車を楽しめるか否かの別れ道となる。

 

話が前後するが、納車後しばらく、だましだまし「入退院」を繰り返しつつ、カーボン落としを筆頭に各種ケミカルを試し、状態が改善するか否かを観察していた。が残念ながら2番3番シリンダーの圧縮が戻らず、腰上OHとなった訳だ。

 

カワサキ

youtube動画など拝見しても、とにかくカワサキ車はタコメーターが故障している奴が多い。そうそう、エリミ900もタコメーターが動かなかったな。

 

このタコメーターの補修代(修理不能の場合代替品)は初期費用に入っているらしく、今だに中古品を探してくれているらしい。エンジン始動前に6500回転、である。細けぇ事ぁいいんだよ。

 

四角いウインカー。

社外品だ。純正品はこの左後ろのソケットが腐食していて点いたり点かなかったりで、まとめてゴミ箱行き。だがテールランプがこの通りはんぺんのようなベタッとした形をしており、バレット型や最近の流れるウインカーなど絶対に似合わない。で、純正品と同じ形のモノを。この辺の小物の充実ぶりは、さすが人気車の姉妹モデルだ。

 

「お早目のキャブ交換をお勧めします。一応OHしましたが、フロートイッてます。数年はもたないと思います。」

 

まあキャブは消耗品と言うしなあ。では今回の腰上OHのついでに・・・。ただミクニの純正リプレイス品はもう死ぬほど高いので、代わりに昔からある鉄板商品だ。

「まだ売っとるんやね、これ!」大盛り上がりしつつの商談であった。

 

ダサいのでさして価値もないのだろうが、貴重な純正オプション(多分)だ。

これ、

走行中に尻が痛くなった時、このように使う。知ってました?

 

・・・

 

ヨタヨタとひとっ走り。お気に入りのサンシャインワーフ神戸だ。

法定速度ならしクルーズ、ダルい事この上ない。原チャリの30キロクルーズはあれほど楽しいのになあ。

 

お気に入りの場所でホッと一息ついた後、追加のスペックを。

「1000ST」のバッジはさすがにダサ過ぎるので、ここだけトーカッターレプリカだ。

 

若い頃J型でローソンレプリカレプリカをしていたので、サイドカバーは当然ライムグリーンの「1000R」だった。なんちゃってサイドカバー、歴史は繰り返すのだ。

 

この車種で話題になる「カムカバーの形」だが、MADMAX的年代で言うとこの車両、「Ⅱ」のウエズのバイクだな。

映画の冒頭、マックスの目の前で自分の腕に刺さった矢を引き抜いて見せるシーンが印象的だが、その際跨いだバイクのエンジンが大写しになる。確かこんな形だったような。まあグースやトーカッターの「丸ヘッドモデル」なんてもう高くて買えないし、エズで良し!だ。

 

ひだひだグリップだ。

見た目も使用感も好きではないのだが、4連でワイヤ直引きのCRキャブ、スロットルは重め。「楽に引ける」グリップとセットでの検討がおススメだ。

 

(前出)。

若い頃は全く平気だったのだが、歳取ってやたら気になり出したのが、スロットルの重さである。

 

社外、汎用マスターシリンダ。

タンクでさえあの状態。ガソリンよりさらに腐食性の強いブレーキフルードを溜める容器など、もうボロボロでリペア不能。前後共新品交換だ。

 

純正マフラーも経年破損がひどく使用不可。これはMkⅡ用リプレイス品のステー加工で取付けが可能だが、やはり高いので、

同じようにZ1用ショート管のステー加工、取付けで車検パス。古バイならではの緩さだ。

 

さて、くどくどとスペックを述べさせて頂いたが、要はこれで一応「まともに走れる状態」まで来れたかな、という事。マイナーな不人気車ではあるが、ボロボロの粗大ゴミ状態からここまで来るのにかかった費用は、初期費用118万円に納車後の細かい部品代とケミカル代、それに今回の腰上OH代を合わせて、しめて167万円ナリ(キャブ代除く)。

 

もちろん、

このステップの歪みとか、次回以降に持ち越した細かい修理もまだ少し残っている。あとMADMAXファンである私、元々キタナイバイクやクルマに色気を感じるため、全塗装にまで手を出すつもりはない。

 

今この状態でこの車両、果たして「売り物」になるのかと言われればハッキリ言って微妙だが、さあどうだろうか。

 

「なんだ、100万円台でZ買えたやん。」

 

あくまでこの不人気珍車を叩き台にしての話だが、例えばそれが人気モデルであった場合、仕入れの費用も当然嵩むであろう。それにフルOHを施し、全部キレイに塗り直したとなれば、まあ300万円位までなら妥当かな、というのが個人的な感想である。

 

「旧車を商品化するにはお金がかかるんです。」というのが業界の言い分らしいが、たかが中古バイクに300万以上の値札など、どう考えても計算が合わない、ボッタクリと言われても仕方がない、という結論に至らざるを得ないのだ。

 

・・・

 

おっ!カワサキメーター、ふと見たらレッドゾーンフルスロットルだ。

たまーに、人知れず、適当に動いているらしい。

 

さて、そろそろ帰ろうか。

トンクル(作業用革手袋)と7980円中華ヘルがよく似合うバイクだ。

 

走り出そう。

ポジションはあくまでアップライト、楽ちんだ。で、乗りやすい。

 

MADMAXのハードなイメージとは裏腹に、ま~ったりとして乗りやすいのだ、Zは。普段250ccクラスにでも乗っている人であれば、何の違和感もなく乗り回せるであろう。

 

ただシート前面のエグレがなく、小柄な日本人はニーグリップがし辛いが、なーに、ガバッとガニ股でおっさん乗りしてやれば良いのだ。

 

・・・

 

さて本日の走行距離は?

50キロ弱か!原チャリでクルーズしようが、バイクでクルーズしようが、あまり変わらんのな、私は。

 

この車両、今後ブログに登場させるかどうかは微妙だ。まず、私のブログの柱であるイトクルーズにコイツは使えない。旧車なので音自体もデカいし、アイドリングが安定するまで長ーい暖機を要する。とても夜中に他人様の家の前で引っ張り出せるモノではない。

 

とりあえずだる~いだるいならし運転、残り951キロ。来月車検で再入庫なのでそれまでに何とかしたい所だが、まあ千里の道も一歩から、だ。

 

読んで頂き、ありがとうございました。