こんばんは!
高校生の頃、話好きで、授業中よく「脱線」する教師がいた。英語の先生だった。
熱く語り出すともう止まらない。黒板に文字の一つも書かずに授業を終える事もしばしばであった。
クラス一同、如何にして面白い話題で「脱線」させようか、皆で切歯扼腕していたモノだ。
ある日、いつものように授業そっちのけで盛大に「脱線」して見せた。その日の話題は「ホモ」についてであった。
近年、LGBTが社会問題化し、デリケートな話題となった感があるが、そこは「緩い」昭和、男子校でのひとコマという事でご容赦頂きたい。
ひとしきりクラス中を沸かせた後、この一言で「脱線授業」を締めたのだった。
「いや、男性にモテる男性というのは、女性にもモテますよ!」
「そうかあ~!?」とその時は他のクラスメイト共と一緒に笑っていた私であったが、やがて年を重ね、多くの人達と出会うにつれ、これほど重みも存在感も増して行った言葉はない。
・・・
非モテである私、この手のテーマについて「真理」に触れる日は恐らく永遠に訪れないであろう。
残念ながら「今まで出会った人の中」でしか判断材料もないのだが、確かに、女性にモテモテのオトコマエという奴、我々男共から見ても涼やかな好人物が多かった、いや、ほぼ全員そうであったと記憶する。
非モテからすれば羨ましい限りであるが、だからと言って安っぽい妬み嫉みなど挟み込む隙は1ミリもない。ああ、この人なら女性にモテて当たり前、参りましたと脱帽する以外成す術なしというワケだ。
・・・
一方(ニヤリ)、いつの時代、如何なる環境に於ても、周囲に必ずいる、同性と異性とで態度の違う者、さて如何であろうか。彼らはその骨身を削る(?)努力が報われ、異性からモテているか?私の周囲、私の知る限り、答えはNOだ。
現在の職場にも一人いる。奴がその女性限定の猫撫で声を唯一、我々男共に向けて発する場面、それは決まって都合の良い頼み事をしてくる時である。
虫唾が走る、反吐が出るとはまさにコレ。
こと「人を見る目」に関しては、野生動物並みの勘と秘密警察並みの裏ネットワークを持つ女性達だ。彼はモテないどころか、「二重人格の危険人物」のレッテルを貼られ、敬遠されている。憐れなモノだ。
・・・
「男性にモテる男性は女性にもモテる」。月日が流れるにつれどんどんリアリティが増し、私の中でどっしりと根を張る信条の一つとなって行った。
私は性的マイノリティではないが、ニュース、ネット等で例えばゲイカップルの話題を目にする。いずれか或いは双方か、人間的にとても魅力のある人物なのだろうなと、偽善ではなく素直にそう思う。
「教え」とはなんぞや?
何十年という歳月が流れようとも光を無くす事なく導きを与え続ける。卒業式の時(自らの脱線授業ぶりが脳裏をよぎったのか)苦笑いを浮かべながら花道を作ってくれた、あの英語教師の一言が忘れられない。
読んで頂き、ありがとうございました。