這い上がる!?

工場労働者の日々の小さな煩悩ブログ

ナイトクルーズ20 バブルタワー。

こんばんは!

バイクの日のナイトクルーズだ。

 

まずは前記事の追記分、北港通りから舞洲に架かる此花大橋、果たして原チャリで通行できるか否か。こういうのをいちいち確認しに行くのが私の徘徊クルーズである。

 

もし「関所」が現れたらゲートウェイ(あるかな?)から引き返せば良い、という事で橋に進入する。

何事もなく渡り切ってしまった。

 

「有料」でもなければ「自動車専用」でもない(ただし歩道は現在工事中のため通行不可との事)。グーグルマップ上の「自動車専用」の表記で勘違いした形だ。忘れなければ後でグーグル様に投書でもしておこう。

 

それではいつもの国道43号に戻り、現在の大阪港の中心「咲州」に向かうとしようか。

 

・・・

 

少し話が前後するが、咲州の北端、例の海底トンネルの出入り口。

こちらは天保山方面。

 

ほぼ直線で1キロ程西、

こちらが夢洲方面。

 

ついでに両者の間に位置するこちら、

コスモスクエア駅

 

以上、咲州の玄関口だ。しかしながら、モンキー号でこの表玄関から咲州に入る事は不可能である。

 

前記事でこの咲州を一旦パスし、南港南を訪問したのだが、何の事はない。原チャリで咲州を訪問するには、一旦南港南まで出て、フェリーターミナル前の大通りを北上するのが唯一のルートなのだ。

 

コスモスクエア南港新都心計画。このバブル経済のあだ花である咲洲舞洲そして夢洲の三つの人工島。

 

なんかもうネーミングからしジュリアナジュリアナ丸出しな感じだが、今後のプロジェクトに再起を図る夢洲舞洲も、うーん、微妙。地図で見ると島の総面積の半分にも迫ろうかという広大な緑地公園。コレを「隠れ遊休地」と見るのは穿った見方であろうか。

 

そして今夜訪問する「主役」咲州。果たしてこちらは思惑通り「客」が入ったのであろうか。楽しみである。

 

・・・

 

大正通り。泉尾の交差点を少し過ぎた辺り。

まずは前記事で訪問した南港南を目指す。

 

あのループ橋の手前だ。

またまた気合いで上がろうか。

 

別角度の眺め。

写真中央やや右にあのコワい橋が小さく写っている。

 

南港通り。前回撮影を忘れた平林大橋だ。

特徴ある橋を二本渡って来て、ここはあまりにフツーっぽい橋だったので、前回何となく通り過ぎてしまった。

 

南港南、フェリーターミナル前。

右手はニュートラムフェリーターミナル駅

 

南港南と咲州を結ぶ南港大橋手前。

ニュートラム阪神高速も並走しているため、眺めはイマイチだ。

 

・・・

 

咲州到着。

島の南端。感覚的にぐるっと迂回して裏口から入った感じだ。

 

「バブルの遺産」は一旦置いといて、まずはフェリーターミナルへ向かい旅情を楽しむとしよう。バブル期以前、ずっと昔から変わらず港に存在していた物だ。

 

この赤い大きな橋は阪神高速湾岸線

大阪ベイエリアを散策していると、割とどこに居てもヌッ現れる。

 

着いた着いた。咲洲の中心、トレードセンター駅付近だ。

埠頭に入ってみよう。

 

別府行き乗り場付近。

コンコースの先端だ。我々乗り物好きにとって、ここを歩く時ほどワクワクするモノはない。

 

コンコースも良いが、それ以上にこの地面に敷かれたブ厚い鉄板だ。

さんふらわあクラスの大きな船になると、クルマ、バイク用の乗船ゲートは船体に作り付けてある。その乗船スロープがここに降りて来る訳だ。

それをバックに、旅行気分だ。

 

同じ敷地(埠頭)内、300m程西にある、こちらは志布志(鹿児島)行き第二ターミナル。

前記事で訪れたかもめ埠頭から移転して来たのが、これだ。

 

いつの日か別府か志布志原チャリナイトクルーズしてやろうか、などと夢想しつつ、ここから2km程離れた場所に(我々はあまり利用しないだろうが)もう一つ、ユニークなフェリーターミナルがある。行ってみよう。

 

その途中で、いつものショット。

モノがモノだけに、無機質な造りだと殺風景極まりないし、逆に凝り過ぎたデザインでも「なんじゃこりゃ。」と笑いを振りまいてしまう。その意味で、今回咲州で利用したコレ、私の中で公衆トイレグッドデザイン賞モノである。

 

で、到着。

釜山行きと上海行きの便がここに発着している。

いっとき話題をさらった「爆買い」のお客様方がここからお出ましになる訳だ。さんふらわあターミナルと併せ、ちょっと覗いてみたかった場所である。

 

では再びトレードセンター駅界隈に戻り、散策するとしよう。

 

・・・

 

国際フェリーターミナル方面から戻って来ると、まず最初につき当たるのがこれ、イベントホールインテックス大阪だ。

やはり写真を撮るならこの6号館前かな。

 

モーターショー/モーターサイクルショーでもお馴染みだ。私は行かないが。なぜ?走らないバイクなぞ、写真で見るかその辺のバイク屋でも冷やかしていれば良い。跨りたいなら、自分のバイクを跨げば良い。例え100万回跨ごうとも無料である(ヘソ曲がり)。

 

6号館向かいのバス停。

「見本市」!・・・お、おう。

 

・・・

 

さて当地のランドマーク、地上55階建て、高さ256mの高層ビル、愛称「コスモタワー」だ。

香港あたりに建ってそうなビルデザインだな。

 

天保山からも良く見えるこのビル、何だろう。

ん?さっきから道々に案内板が立っている「大阪府咲洲庁舎」ってのがコレか!?

 

イヤコレ、大阪の方激怒りじゃないかな。

 

私の見た所、「大阪人」は言われる程ケチではない。食い道楽の名が示す通り、バッと「金払いの良い人」がむしろ多い印象である。一方で徹底した現実主義、実利主義。これは当てはまると思う。見栄やハッタリ、虚飾などに対しては総じて冷ややかなのだ。

 

そこへこんなキンキラキンの高層ビルをいきなりおっ建て、ハイみなさん大阪府庁咲州出張所ですよーなんぞ言おうモンなら、イヤ大阪人じゃなくても怒るか。

 

ところがこのビル、TV新聞、ネットで叩かれてもいないし、横断幕やプラカードを持った人々に囲まれている風でもない。ビル周辺にハンストテント等はない。疑問に思い調べてみると、これ、かつてはお役所ビルではなかったのだ。

 

大阪WTC(ワールドトレードセンター)ビル。お披露目当初の名だ。おっ、WTC!なるほど香港風(あるいはマンハッタン風)か!

 

で、そのWTCビルが大阪府の持ち物となった経緯だが、世界のWTCビル同様、主に貿易関係のオフィスの入居を当て込んだがバブル崩壊さっぱり店子が入らず、当初大阪市が散々テコ入れするも手に負えず、そうこうしているうちに借金が膨れ上がってにっちもさっちも行かなくなり、最後は大阪がビルを買い取り株式会社大阪WTCビルディングは解散。以後大阪府第二庁舎として再利用されている。

 

・・・という事らしい。

 

何事も解り易くまとまっているwikiの解説でも、なんかもう相関関係を図に書く必要がある位ややこしいのだが、「債務超過」「調停」「管財人」「清算」等の文字が躍るバブル崩壊のストーリー」である。

 

・・・おぉ!バブルタワーよ!!

 

ゴージャス。その煌びやかで美しい容姿。一方中身はスカスカのグダグダ。当時一世を風靡したジュリアナ東京ボディコンお立ち台ねーちゃんそのものではないか(怒られるか)。

 

あの時代のむしろ負の側面をも雄弁に語りつつ、バブルの申し子であるこの咲州の地に立ち続ける。あれから時も流れ世の中も変わったが、このコスモタワー、当地のである事は一貫して変わらない。満身創痍にして動かざる事山の如し。お見事と言う他にない。

 

ちなみに当ビル7F~17Fで営業するこちらのホテル、

なにやら賃料の件で大阪府とモメているらしい。

 

11フロアを占有する、間違いなく最大の「上」店子だ。ちょっと面白過ぎる。ホテルも大阪府も、両方ガンバレ!

 

・・・

 

このタワーの向かいにある、これまたバブリーなビル、こちらは大阪南港ATC(アジア太平洋トレードセンター)だ。最寄り駅の「トレードセンター前」とはこのビルを指す。

「母屋」の方は暗く写ってしまったが、

こちらもなかなか豪奢なビルだ。

 

かつてはこのビル、敷地全体が保税(tax free)区に指定され、テナントには海外DCブランドの服飾品やコスメ、或いは輸入雑貨を扱う免税店が軒を連ね、女性客を中心に大変な賑わいを見せる予定だったのだが賃料の高さや交通の不便さが敬遠され、こちらもやはり店子が入らず経営破綻。

 

経営再建中に保税区の期限も切れ、現在はごくフツーの商業雑居ビルである。しかし「その辺の雑居ビル」に生まれ変わった後、経営の方はそこそこ上手く行っていると言うから世の中面白い。

 

現在はどういったテナントが入居しているのか、そこまでは不勉強なのだが、先程触れたさんふらわあ別府行きのターミナルも、このビルの一角にある。

建屋から長いコンコースが岸壁に向かって伸びている。さんふらわあ号の乗り場は、ちょうどこのビルの裏手に当たるという訳だ。

 

・・・

 

この咲州だが、舞洲夢洲と決定的に違うのは、「ポートタウン」という名の居住区がある事だ。行ってみよう。

ふむ。深夜でもう人通りもないのだが、やはりコレのあるなしで雰囲気はガラッと変わるモノだ。

 

地についた人の暮らし、日々の営みが存在している分「街の顔」をしている。ちょくちょく訪れる神戸ポートアイランドとよく似た感じだ。むろん、居住区のない(或いは遠い)深夜の埋め立て地のガランとした非現実的な光景も大好物だが。

 

幼稚園。

小学校。

こちらは中学校。

他に私立の小中高に大学もあり、学校が多い印象だ。

 

ではこの咲州、見事人の集う賑やかな「新都心」と成りおおせたのか、と言われれば、うーん、ここもやはり微妙。

 

失礼ながら、ここポートタウンにお住まいの方、生活はご不便だろうなと思う。あのコスモタワーやATCもすぐ近くではあるが、そこに生鮮食品や日用品を扱う店はない(多分)。

 

ポートタウンを横断するニュートラム沿いにスーパーが二軒。コンビニは、巨大雑居ビルATC内にも2~3店舗あるようだが、それ以外で私が咲州徘徊中に目にしたのは、セブンイレブン二軒だけ。

 

万博開催前、2023年現在の夢洲のような茫漠の感こそないが、特に商業施設に関しては痒い所に遥か手が届かない、寂しい状況と言わざるを得ないだろう。

 

・・・

 

これは、1990年代初頭頃配布されていた官公ビラ。

咲州の未来予想図だ。

 

正面のコスモタワー、その手前、埠頭に沿ってATC、あとタワーの右奥の高層ビル、これはミズノ本社ビル。タワーの隣(確か右側)、この図の段階ではまだ四角柱の「皮算用」だが、プリンスホテルだったかな、高層ホテルがある。皮算用が一枚売れた形だ。

 

現実に我々の眼前に現れた奴はこれ位?あとは「・・・。」である。図の右端、ATCに隣接する扇形のビル等に至っては、建設の認可まで下りていたのに直前でキャンセルになったという。

 

外周道路を走る。

どデカいコンテナヤードが島の外周をグルッと取り囲んでいる感じだ。

 

ここから先は私の推測になるのだが、人工島の「常連」であるこのコンテナヤードや物流センターといった「荒物」は隣の舞洲夢洲に集約し、ここ咲州は居住区にオフィス商業区、緑地公園等で埋め、華やかな新都心を演出したいというのが大阪市(府?)のホンネではなかったのかな。

 

「あっ、神戸ポートアイランドに似てる!」ではダメ、失敗なのだ。上の未来予想図からもそれが読み取れるではないか。

 

暗く寂しい、倉庫が建ち並ぶエリアだ。

こういった倉庫街もまた昔から臨港部の「常連客」、よくある風景なのだが、咲州の場合、オフィスビルもショッピングモールもここに来てはくれなかった、という哀愁が常に見え隠れするのだ。

 

・・・

 

バブル期。

 

その膨大な負の遺産は未だ清算し切れておらず、現在進行形で日本経済を苦しめているのは周知の通りだ。

 

バブル崩壊とそれに続く空白の20(30?)年、就職氷河期とまともにカチ合い、私もなかなか定職に就けず婚期を逃した。むろん非モテである私、本件バブル経済のせいばかりではないのだが。

 

このように大なり小なり微小なり(私の事だ)、日本人の暮らしに打撃を与えたバブル崩壊劇ではあったが、ではあのコスモタワーが憎いか?

 

・・・とんでもない。例え中身はズタボロでも、まさに現代の宮殿とも呼ぶべき、煌びやかで威風堂々たるその姿、惚れ惚れする程美しいではないか。日本人がこの国の明るい未来を信じて疑わなかった時代、その最後の輝きである。

 

この、もう完全に一時代昔の「遺跡」として鑑賞するなら、なかなかにオツな風情があるというモノではないだろうか。私の心の琴線に触れまくる、あの「兵共が夢のあと」という奴だ。

 

・・・

 

さて、週末四度の「出撃」、実に一ヶ月を要したこの大阪港原チャリ周遊だが、港らしいウオーターフロントの写真で記事を締めよう。

大阪メトロ中央線、そして南からニュートラム。その双方の終点(始発)であるコスモスクエア駅。その北側一帯が、このように細長い公園として整備されている。

 

むろん夜景も良いが、西を向いている大阪港、夕方が「絶景」と評判だ。もう少しで朝夕は涼しくなろう。この「駅降りてスグ」のアクセスの良い公園で、潮風に夕涼みを取りつつ、ついでにと言っては何だが、現役の施設にしてバブル期の遺跡群でも鑑賞してみてはいかがだろうか。

 

対岸の夢洲の灯りに紛れているが、沖合を船が航行している。

海遊館周辺を訪問した際も港に停泊していた、2000tクラスの内航船のようだ。

 

読んで頂き、ありがとうございました。