こんばんは!
私の夏の思い出、と言うか失敗した買物の思い出を辿る今回のナイトクルーズだが、それでは、前記事からハミ出した部分に入らせて頂こうと思う。
地元、家の近所をちょろちょろと回った後、話がいきなり淡路島まで飛ぶ。「商品イメージ」に終始振り回された買物だったが、まさにそれを雄弁に物語っていると言えよう。
淡路島も北部なら、モンキー号で充分射程圏内なのだが、125ccまでのバイクが手荷物扱いで乗船できる高速船「淡路ジェノバライン」、調べておかなくてはと常々思いつつ、コロッと忘れていた。仕方がない。今夜はRP22を引っ張り出し、明石海峡大橋を渡って行くとしよう。
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少し話は逸れるが、この京橋PA、バイクがらみのちょっとした思い出があり、そこから今回の記事を始めようと思う。
かつてハーレーに乗っていた頃、いわゆる「ツーリングチーム」に参加していた。チームを主催していたのが神戸の方で、この京橋PAがツーリングの集合場所によく使われていたという訳だ。
現行、もしくは高年式ハーレーを主体とし、あと国産クルーザーが3~4台、ポンコツ鉄チンハーレーが1台(私だ)というメンツだった。
この京橋PA、降りるとスグ繁華街三宮という事もあり、ツーリングの待ち合わせ含め利用者は非常に多いのだが、小さなPAである。
バイク専用のスペースはこんだけ。
詰めて2~3台といった所か。
そこで、我々バイク乗りも四輪用の駐車スペースを利用させてもらうのだが、かつて参加していたそのチーム、この大型車用エリアが待ち合わせ場所だった。
うん、懐かしいな。今ネット等で何かと話題の中年ハーレー軍団。なんと私もその一員だったのだ。
しかし最近のハーレー乗りは高速道路で隊列を組んで走るのが好きだ。
一方当時の愛車ショベルヘッドと来たら、80km/hで振動のせいで両手の感覚がなくなる。100km/hでヨーイングが始まる。少しキツめにブレーキかけたらブッ飛ぶシチュエーションだ。定期点検のついでにリア周りのブレ取りをしてもらった所、ほんの少しだけ改善したが、100km/hでフレームも足周りも破綻をきたしてしまうのだ。
そんな激ヤバの状況下、他人のペースに合わせて走る、まあ苦行以外の何物でもなかった。
水上バイク、そしてハーレー。共に私の「小さな過去のお話」だ。
これから向かう方角だ。
それでは、
猛暑酷暑ドンと来いのナイトクルーズ、今夜も出かけるとしようか。
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阪神高速に山陽道、そして神戸淡路鳴門自動車道、これらが合流分岐する巨大で複雑怪奇な垂水JCT。行先ごとの正しいレーンに乗れるよう緊張しつつ走らされる時間が異常に長く、また「有料区間は大橋のみ」で淡路島行きを目論むと、橋から遠く離れたとんでもない山奥にまで誘導される。何度走っても嫌いな場所だ。
で、それに続く明石海峡大橋だ。バイクでこの橋を渡った経験のある方、皆ご存じだろうが、バイクで走って快適な道ではない。海上、かなりの高さの所を通してあるため、常に強風が吹き荒んでおり、上り下りの勾配も見た目以上のキツさがある。
また「吊り橋」の構造上、橋桁の金属製ジョイントも非常に幅広で(パッと見2~3m位?)雨で路面が濡れている時など、言わば「道幅いっぱいで避けようのない、長さ2mのマンホールの蓋」である。
何より、怖いからと言ってゆっくり走る事は許されない。高速道路なのだ。
大阪と奈良の県境にある、あの伝説の峠道ほどではないのかも知れないが、いやはやバイクにとってなかなかの「酷道」である。しかも有料だ。個人的に大好きだった明石海峡フェリーを潰し、まあとんでもないモンこさえてくれたと言う他はない。
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神戸淡路鳴門自動車道淡路SA、通称「淡路ハイウエイオアシス」。
淡路島上陸だ。
ふー!特に今日の大橋は横風がキツく、風上の方向に車体を傾けないとまっすぐ走らなかった。40年程前、教習所でチラっと聞いた気がするが、実践したのは今日が初めてである。
バイク駐輪場の前に大きな観覧車がある。
「淡路SA大観覧車下」ここも関西一円のバイク乗りの間で著名な待ち合わせ場所の一つだ。
垂水JCTから明石海峡大橋、時間にして10分か15分程度なのだろうが、「酷道」を走行して少々肩が凝った。SAで少し休憩しよう。
喫煙所付近から。
フードコートを覗いたが混んでいたのでメシは後だ。
この淡路SA、
明石海峡を見下ろす高台にあり、やはりここも風が強い。
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そろそろ一般道へ降りるとしよう。この強風も少しはマシかも知れない。
そうそう!SAを降りてスグの所に、確か道の駅があった筈。その道の駅にクルマやバイクを停めて水上バイクに乗っていたので、そこまで行けばもうマリーナは徒歩圏内だ。だんだん思い出してきたぞ!
道の駅あわじ到着。
後ろのコンクリの壁は、
この巨大な橋の「脚」だ。
道の駅の食堂売店の方は、
もう暖簾を降ろしているようだ。
前の道路を歩き出す。方角は西。そして海へ向かって折れる路地を探す。あの日もこうして道の駅にバイクを停め、マリーナまで歩いたのだ(多分)。
しかし今夜の強風、平地に降りて来ても止む気配がない。
ピンボケではない。街路樹が強風で煽られているのだ。
この風はヤバいな。ついでに洲本あたりまで少し流そうと思ったのだが、これではどこに居ても強風に晒され続けるであろう。シーサイドクルーズが「売り」の土地。今日は雨こそ降っていないが、天候的にはハズレのようだ。マリーナさえ見れたら早々に退散するとしよう。
路地に立つ看板。案外あっさり見つかったようだ。
当然だが屋号は変わっている。マリンリゾート「ムーンジェリー」か。
間違いない。この路地だ。
行ってみよう。
おっ!
まだ開いている。ちょっと失礼!
そうそうこの建屋だ!
中にマリンショップとシャワーに更衣室、休憩所がある。いやー懐かしい!
で、当時はなかったこの建屋。
そうかそうか、新しい「社長さん」、カフェ/バーを始めて(或いは誘致して)、それでこんな時間でもやっているのだな。大変結構!
水上バイクが並んでいる。
かつて私の物もここでこうして保管されていたのだ。
この不景気である。ショップが廃業し、ここも荒れ果てているのではと危惧していた。実は廃墟も大好きだが、それは関係ない建物の話であって、思い出の地、その門扉が鎖で封印され、寂れ散らかしている様子を目にするのはやはりキツいモノがある。
あの日と変わらず、むしろパワーアップして元気に営業されているようで、本当に良かった。
ビーチを見てみよう。
夏場、ヌメヌメとしてぬるま湯のような都会の海とは違い、水は澄み、キリッと冷たかった。
ある日、腰まで水に浸かり水上バイクを押し引きしていて、ふと視線を落とすと小さな魚の群れが泳いでいた。感動的だった。
そして、水上バイクに跨り見上げたこの景色だ。
この橋、実際走ると最悪だが、見てくれだけはホント最高だな。飲む打つ買うの不良色男といった所か。
おっと!スマホを構える暇もなかったが、たった今目の前を轟音と共に高速船が通り過ぎて行った。こんな時間でも運航しているのだな。淡路ジェノバライン、やはり早々に調べておく必要がありそうだ。
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「商品イメージ」に振り回され引きずられ、はるばる淡路島まで。白砂青松、碧い珊瑚礁という程でもないが、これで当初の「期待値」の70~80点レベル。まあまあ満足できるロケーションを手に入れた訳だ。
これで解決か?当時、家から一般道を西にひた走り、在りし頃の明石海峡フェリーで淡路島に上陸するというパターンでここまで通っていた。
須磨、垂水あたりとフェリーの船上から当日の波の様子を見るという目的もあったが、西宮から明石というのがまた距離的に微妙で、途中阪神高速を利用しても、期待するほど時間の短縮には繋がらないのだ。
結果、片道2時間。往復で毎回半日潰れる計算になる。
朝、寝ぼけた頭で蝉の声を聞きながらこう思う。
「今から支度して、現地到着は昼頃。それから着替えて水上バイク降ろしてもらっても、ちょっとしか乗る時間ないなあ。」
確かに望む環境は手に入った。がしかし、「面倒だが乗りに行かんとなあ。」この点になんら変わりはなかったのである。まさにイメージの呪いの成せる業、名作エコエコなど黒魔術系の怪談話なんかでもよくあるオチだ。
ならば、同じように高い維持費を払い、再び下水処理場の横で乗るか?今さらそれはあり得ない。
私は有閑上級国民ではない。貧乏暇なしの底辺労働者だ。結局、このような身分の者にとって、良い環境で楽しむにはこのレジャー、重過ぎるという事であろう。例えば土曜出勤がかかり、日曜一日だけの休みで、わざわざ淡路島まで水上バイクを乗りに行く気になど到底なれまい。
もう一つ、我々バイク好きにとって「楽しい」トラップも存在する。淡路島、言わずと知れたツーリングのメッカである。あの海沿いの道をゆったりクルージングする。実に気持ちが良い。全身にしぶきを浴びずぶ濡れになりながら、敢えて水の上を走る必要もないのだ。
バイクで淡路島へ向かい、「予定変更」、マリーナには寄らず日帰りツーリングを決め込みそのまま帰る。数え切れない位やらかしたモノだった。
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今度はガチもんのピンボケだ。
真っ暗過ぎてどこにもピントが合わない。ここは大橋にアプローチする山道。結構な距離を走らされる。
神戸側の垂水JCTに舞子トンネルも大概だが、結局この橋、巨大過ぎてポンと乗ってポンと渡る事ができないのだ。
阪神高速西宮出口を降りた所。いつもの国道43号だ。
もう家はすぐそこなのだが、これから例の隣町宝塚のバイクボックスでモンキーに乗り換え、ここまで戻って来なければならない。
かつてのマリンライフのミニ版のような、軽快とは言い難い私のバイクライフだが、アパート暮らしの者にとって、水上バイクだろうが陸上バイクだろうが、家の前に粗大物を保管するスペースなどない。これはもう致し方なしだ。
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水上バイクを手放し、マリーナを解約するにあたり、特にキッカケのような物はなかった。「断捨離」という言葉が巷で流布され始めた頃だ。なんとなく、流れ解散的な雰囲気で、この貧乏人にはいささか重いレジャーから足を洗ったのである。
しかし、その手放す直前、すっかり足も遠のいた頃でさえ、淡路島に隠れ家的な遊びの拠点を持っている事、まあ誰に自慢する物でもないが、確かに自分の中でかなりプレミアムな感覚ではあった。
「イメージ商品の呪い」と散々言わせて頂いたが、あのプレミアム感、実はイメージ商品ならではのかなりオイシイ部分であったのではないかという気も(一方では)している。
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よし!
途中メシでも食って帰るとしよう。
この時間からだと、安定の深夜営業ラーメン屋か丼物屋、カレー屋といった所であろうか。つくづくグルメでないこの舌がありがたい。
読んで頂き、ありがとうございました。