こんばんは!
早起きしてモンキー号でトコトコと向かう予定が寝坊して急遽高速を使う事に。翌朝出掛けるつもりでいても、休日前の夜更かし、なかなか抗い難い誘惑である。
今回訪問する洲本市某所、いつものナイトクルーズでは「画像的」にかなり苦しいモノになると予想され、昼間に向かう事にしたのだが、キッカケは朝刊の記事である。
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202311/0017023875.shtml
「ナゾのパラダイス」立川水仙郷だ。かの人気深夜番組で取り上げられ、ご存じの方も多いと思うが、何と今年9月を以て閉園していたという。
あそこは地理的に、人の手による管理が無くなれば、瞬く間に藪に覆われ自然に返り、その所在すら判らなくなるであろう。しかし閉園が9月なら、まださほど廃墟化はしていない筈だ。
・・・
淡路SA。
酷道垂水JCTと明石海峡大橋を走り終えた安堵感で、高速で淡路、四国方面に向かう際は毎回ここで一服。高速道路屋さん、全く商売上手である。
さて洲本ICが最寄りなのだが、並走する国道28号、この辺りから洲本まで海沿いを走っている。高速はここで降り、海でも眺めながらノンビリ流そう。
この海である。
強風に吹き晒されながら高速道路にしがみつく理由もない。
洲本市内で国道28号を離れ県道76号へ。
この交差点を左折だ。
県道76号に入ると間もなく現れる洲本温泉。
対向車線を走って来たCB1000BIG1のお兄さんと笑顔で会釈。「あ、どーもどーも。」
BIG1ももう旧車の部類に入るのだなあ。
進行方向左手の松林、大浜公園だ。
松林を抜けると、
こんな感じだ。岬に沿ってこれから進む県道76号が見える。
本日の公衆トイレショット。
大浜公園に立ち寄った理由は無論コレ。人気海水浴場のトイレらしくシャワー、更衣室が併設されているらしい。巨大な公衆トイレだ。
先へ進む。
「立川水仙郷」の案内がまだ表示されている。ちなみに正面の山頂にポツンと立って見えるのは洲本城天守閣だ。
温泉街を抜ける。
地元の著名な温泉街だが私は未だここに宿泊した事はない。
むろん温泉は大好きだが、グループツーリングをやらない者にとって微妙にストライクゾーンからは外れている。一人で泊まるなら、それこそネカフェやビジホで良い。
洲本市郊外由良地区。小さな町ののどかな昼下がりだ。
温泉にグルメ、史跡名勝も良いが、こういった時間空間がカクベツ好きである。
・・・
さて由良を過ぎると、道は細いワインディングとなる。
「峠道」と言うより海沿いの崖の上をクネクネと走るイメージだ。
この「臨海ワインディング」のさなか、かの地は静かに佇む。
到着。
正面ゲート跡だ。
閉園前と変わらず周辺に笑いを振りまいているのが逆に物悲しい。
近付いてみよう。
荒れ始めている訳ではない。昔からこんな感じであった。恐らくペンキが乾く前に雨でも来たのであろう。
おっ!久しぶり。
かつて来訪者を出迎えていた信楽の狸だ。
そしてどこぞに掲げられていたであろう看板を流用した(?)閉園の挨拶。
「秋晴の候、皆々様の格別なるお引き立て云々」風な格式ばった所のない、素朴な手書きの挨拶文。グッと来るではないか。
今はもう柵で閉ざされたこの向こうが園内だ。
まずはこのスロープを伝い谷を降りて行く形となる。
敷地の奥まった所(ぶっちゃけ谷底)にその「パラダイス」が小さく写っている。
ナゾのパラダイスとはなんぞや!?
まあ要するに「秘宝館」である。性にまつわる土着信仰や民俗学的な物を集め展示した、全国各地に点在するアレだ。
施設の概略については、wikiに解り易く解説がなされているので、参考までに。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E5%B7%9D%E6%B0%B4%E4%BB%99%E9%83%B7
そもそもナゼここに秘宝館を建てたのかだが、館内の説明ではかつてこの地に安産の神が祀られていて、それにちなんだとの事だった。一方wikiでは単に初代園長の古物収集の趣味が高じた物と解説されている。
個人的に、断然後者(wiki)の説を推したい。とにかくテキトーな感じ、それこそこの施設の魅力であった。
最初に訪れた時は、水仙の名所であるという知識はなかった(シーズンでもなかった)。
例のTV番組、桂小枝師匠の「こぉれがパラダイスかーッ!!」のセリフにニヤつきながら向かったクチである。
館内至る所に、ロープ、ノボリに陣幕、パイプ椅子や折畳み長机等、一見してイベント用の資材が積まれており、秘宝館の展示物より軽食コーナーで注文の山菜蕎麦の味より、それが気になって仕方がなかった。
「片付けろや、倉庫じゃあるまいし。」
正味ナゾの第一印象であった。後にそこが花の名所である事を知り、「ああ、あのイベント用資材、なるほどな。」と実に爽やかな気分で納得したモノだ。
見所満載の淡路島だが、この周辺に限っては他に休憩一服するポイントもなく、喫茶軽食コーナー併設のここ「ナゾのパラダイス」にその後何度か立ち寄る事となった。
・・・
さて正面ゲートから道を少し下った所に「第二出入り口」がある。
そちらの方が敷地全体が見やすい。回ってみよう。
途中にあるバス停。
水仙郷が閉園となった今、ここで乗降する客は(多分)いない。
第二出入り口。
こちらも封鎖されている。
笑。
一体何の比較で「3倍」なのか、この天然ボケぶりがつくづくサイコーである。
手書きの挨拶がこちらにも。
施設の「味」であった手作り感がラストメッセージに集約されている。
谷をぐるっと回り込んだ形だ。
向かいに白く写る物が先程の正面ゲート。そこから谷へ降りるスロープがよく見える。
谷の中腹にある駐車場。
その隣にあるUFO神社だ。
UFO神社では奈良公園の鹿煎餅のような円盤状の物を売っていて、それを写真右手の谷の方へ向かってフリスビーの要領で投げる。縁起物なのだそうな。コレまたナゾである。当地に祀られていたという安産の神の話は何処へ行ったのか。
ちなみにその円盤には「自然に土へ返る素材で作られており、円盤の回収は不要です。」とのご丁寧な但書もあった。色々意味不明なのだが、多い時で10枚は飛ばしてやった。
さらにもう一段谷を下った所にある秘宝館・ナゾのパラダイス。
その隣(写真では向かって左方)に、芝生かゴルフコースのような、柔らかな「緑の絨毯」が見える。コイツが水仙園。ここまで来てやっと「本来の」主役の登場だ。
神戸新聞の記事で、この施設が個人で切り盛りされていた事を知り、「ナゾ」は解消された。
脈絡もへったくれもない破天荒な珍アトラクション。水仙のシーズン以外にも客を呼ぶべく、バイタリティあるオモロイおっちゃんの「単なる思い付き」の炸裂だったのだ。
手作り感が良い。テキトーで良い。下手なコンセプトなど無いが良い。バカボンのパパではないが、「これでいいのだ。」
閉園が惜しまれる。
・・・
ビッグニュースである。何と12月29~31日の3日間限定で、「ナゾのパラダイス」が再開されるという。
ファンとしては喜ばしいが、年末のクソ忙しい時期に秘宝館だけを目当てにわざわざ足を運ぶかと言われれば、うむ、微妙。
つか年末となれば水仙の花もほころび始める頃であろう。「水仙郷」なのだから水仙園の方やらんかい!と。
閉園後のアンコールステージでもステキな天然ボケをかましてくれる、イヤ恐るべしナゾのパラダイスだ。
読んで頂き、ありがとうございました。