這い上がる!?

工場労働者の日々の小さな煩悩ブログ

ナイトクルーズ21 バブルタワーⅡ。

こんばんは!

 

メインのバイクテーマでは久々の投稿だ。

 

hungryman888.hatenablog.com

 

このモンキー号の件もあるが、他にイロイロ生活面でバタバタしており、その上阪神優勝するわで、すっかり更新が滞っていた。

 

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ネタバラシから入る。前記事でバブル期の建造物を「現代の遺跡」と呼んだが、実はこれ、私のオリジナルではない。

 

バブルタワー。かつて衆生をして「バブル期近過去遺跡」と言わしめた「元祖」が、実は存在するのだ。

 

そう、関西一円にお住まいの方ならスグにピンと来る所であろう、あのりんくうタウンである。

 

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前記事で「南港新都心計画」に基く舞洲夢洲そして咲州の3つの人工島を訪問したが、まあ、あの人工島、敢えて必要なモノではなかったというのが偽らざる感想だ。人工島に建ち並ぶ施設、全て広大な大阪港の既存のスペースで収容可能であった事だろう。

 

「ズデッ!」とこう新喜劇ノリ?バブル狂騒の中で勝手にコケた南港新都心計画とは違い、こちらりんくうタウン関西国際空港の利用客やスタッフを迎えるための準備をせっせと進めていた所、バブル崩壊の余波をもろに喰ったという気の毒な側面があり、ちょっと笑えない。関空自体がバブリーな代物という見方もあるが、実はバブル経済の盛衰と直接関係はないのだ。

 

大阪と和歌山を結ぶ国道26号シーサイドラインではないが、「南へ向かう」という気分的なモノも手伝い、なかなか解放感ある、走っていて気持ちの良いルートだ。大阪を発って堺を過ぎ、岸和田を過ぎ、暫く走ると、まるで悪夢にでも迷い込んだかのような「異世界」が忽然と現れる。

 

「えっ!?泉佐野ってゴーストタウンなん?」

 

窓が抜けたまま放置された高層ビル、地面がひび割れ草むしたターミナル、錆び付いたフェンスに囲まれた広大な更地。関西空港の対岸に広がるこの黒々とした巨大廃墟群。当時「バブルタワー」「現代の遺跡」と呼ばれていたモノの姿である。

 

この地に立ち寄ったのはもう20年以上も昔になろうか。リスク込みで巨大施設の受け入れを承諾した関空対岸の小さな町。その無念さが滲み出るような鬼気迫る廃墟群であった。まともな神経の持ち主なら正視に堪える代物ではない。いやホント、琵琶湖の幽霊ホテルなんか可愛いモノだったな。

 

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さて現在のりんくうタウンだが、あれから官民一体の努力が実り、かつての廃墟群は一掃されたという。素晴らしい。元々然るべき理由があって開発された土地だ。廃墟を指差して笑うのは忍びないが、キレイに生まれ変わったのなら訪問してみるも良いだろう。

 

例の南港新都心計画も、このりんくうタウン建設に対抗して打ち出されたのだとか。ならば前記事から間を空けず、対比を試みつつ記事にしても面白いかも知れない。

 

りんくうタウンもそこそこの広さがあり、モンキー号で徘徊したい所だが、泉佐野市は大阪府とは言えほぼ和歌山との県境付近に位置し、そもそも原チャリクルーズのポイントとしては遠い。あちらを立てればこちらが立たずだが、ちょうど今モンキー号がチョイ乗りしかできない状態でもあり、しゃーない、生まれ変わったりんくうタウン歩き回るとしようか。

 

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暖機中だ。

目的地が関空対岸の町という事で、これから阪神高速湾岸線をひた走る。

 

深夜で湾岸線と来れば、ここは当然クサい昭和のバイク一択。ひとりハイティーンブギだ。

 

ま、それも良いが、エンジンO/H後の慣らし運転も終わり、今回初高速という事でコイツのテスト。

お店のゴミ箱で見つけた古~いETC車載器だ。

 

「一応繋いでおきますけど、作動は保証できませんよ(笑)。」

 

セットアップ料金のみ。もしちゃんと動いたら儲けもん。「関所」の多い阪神高速、コイツのテストにはちょうど良い。

 

湾岸線入り口付近で、最悪!雨が降ってきた。

降水確率20%だよ?

 

自分も含め、夏が好きかという問いに対し、Yesと答える者が多数派と思われるが、冷静に考えてみると、それは学生時代の「夏休み」の思い出、ノスタルジアで錯覚しているだけであり、実際夏に直面する事と言えば、日中生命に危険が及ぶ程の高い気温と、この不安定な天候である。

 

泉大津PA

ここまで来れば目的地はもうすぐなのだが、高速走行中にも雨が断続的にパラパラ来ていたので、避難的休憩。

 

11F展望室がまだ開いていたので行ってみる。

これから向かう南の方角を向いていなかったので、な~んだ、とソッコー引き返す。

 

さて出発しようか。

しかしこのバイク、テールラインが私の懐かしの限定解除試験車、スズキ赤ベコに似てないか?という事でまたまたバックショットだ。

 

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泉佐野南出口を降りるとスグりんくうタウンなのだが、まずは国道26号と481号(関空連絡道と並走する一般道)との交差点付近を見に行こう。

 

こちら大阪方面。

ぐるっとUターンして和歌山方面。

前方に見える高架が関空連絡道だ。

 

ごくフツーの街並み。がしかし私同様、20年前にここを通りかかった方なら皆ご存じ、この普通の街並みこそが尊いのだ。廃墟は一軒も見当たらない。

 

普通の街並み、ありふれた景色にかつてないほどの感動を覚えつつ、りんくうタウンへ戻る。

一般道はここでどんつき。この先の関空連絡橋はまだ有料か。今日は空港に用がある訳ではないので、金払ってまで行かない。バイクを停め、今回のテーマ、りんくうタウン散策に入るとしよう。

 

かつて和歌山方面からのツーリング帰り、コンビニの一軒も営業してはいまいかと、この地へフラフラと入り込んだが、出迎えてくれたのはまばらな街灯にほのかに照らし出されたドス黒い廃墟群。静寂に包まれ、まさに「異世界」であった。

 

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まずはネットの口コミ好評価、エリア内の公園から。

公園と来ればいつもの公衆トイレからスタートだ。

 

マーブルビーチ。

名前の通り、白いコロコロとした玉石が敷き詰められている。

遊歩道沿いにコテージが建ち並んでいる。

一棟一泊3万ほどらしい。

 

明るいエリアに出た。

沖合いの灯りは関西空港。空港ビューポイントのようだ。

ウッドデッキだ。案内板には「太鼓橋」とある。

暗くて全体像は掴めなかったが太鼓橋の形をしているらしい。

 

その太鼓橋を降りると、人工の潮溜りがある。

「内海」と名付けられている。なかなか風光明媚な公園だ。

 

「四季の泉」。

三本のアーチはそれぞれ夏至冬至、春(秋)分の太陽の運行を表す。壮大なモニュメントだ。

 

記念撮影ポイントが作り付けてある。

きたねーおっさん(私だ)の自撮りピースなど興覚めも甚だしいので、カメラ(スマホ)台ごとパチリ。

 

画像ちょっと暗くなってしまったが、「夏至の階段」。

一見ただの遊歩道だが、この階段の向かう先の水平線に夏至の太陽が沈むという。ほほ~ぉ!そのネーミングといい、センス五ツ星だな。「夏至の階段」、気に入った!

 

関空連絡橋の下まで来た。

公園はこの辺りでどんつきのようだ。

 

ヤバい。頬が緩みっぱなしだ。この元「バブルゴーストタウン」、現在めちゃくちゃイケてないか!?次はりんくうタウン駅へ行ってみよう。是非見たい建物がある。

 

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公園を出ると、まず現れたのがこれ。

スケート場のようだ。意表を突く施設だったのでパチリ。

 

りんくうタウン駅前到着。

JRと南海電鉄が共用する珍しい駅だとか。

下を覗くと、りんくうタウンのメインストリート、大阪臨海線が走る。

 

そのりんくうタウン駅(手前)に接続する、「見たかった建物」というのがコイツだ。

角度を変え、正面から。

スマホ画像ではなかなか全体像が収まらないこの白亜の巨大高層ビル、sisりんくうタワー。高さ256m、当地のランドマークにして今回の記事のタイトルイメージだ。

 

バブル崩壊で頓挫したりんくうタウン初期計画。その中で唯一竣工に至った建造物である。

 

前記事で訪問した、「あの時代」の酸いも甘きも嚙み分け、かつ雄弁に語りかける私のお気に入り、「ジュリアナねーちゃん」南港コスモタワー(画像前出)。

当時このコスモタワーと高さを競い合う形で建設が始まったという、かし過ぎる歴史を誇る高層タワービルだ。

 

さてこのりんくうタワー、現在スターゲイトホテルという4ツ星ホテルが主な店子なのだが、このホテル、29階以上の高層フロアを客室として抑え込んでいて、「展望」をウリに元気に営業しているとか。大変結構な話だ。

 

高さで1m勝っても、ビルデザインの美しさではやはり南港コスモタワーに軍配が上がる。というか若干いびつな形をしているのがお気付きであろうか。何とこのりんくうタワー、当初は関西空港線(連絡道)を挟むツインタワーとして計画され、「りんくうゲートタワー」と命名される予定であったのだ。

 

何とまあ・・・。これが片翼で不死鳥の如く蘇ったバブルタワーの姿である。

 

イヤ惚れ惚れする。スマン、ニヤニヤが止まらない。

 

バブル経済が悪手であった事は言うまでもない。むろんその反省も踏まえての必然ではあろうが、とにかく今の世の中、世間のトピックがいちいちいちいち矮小でケチ臭く、しかも暗い。華がない。ニュースなんぞ見た所でゲンナリするばかりだ。

 

繰り返しになるが、日本人が我と我が国の明るい未来を信じて疑わなかった最後の時代、最後の輝き、そのポートレートである。

 

そいつを今、こうして微笑みながら見上げている。

 

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さてそんなりんくうタワーの「片割れ」の予定地跡だが、現在ショッピングモールが営業中だ。

このユルい鳥のイラスト、南港のどこぞでも見かけたような。人気イラストレーターの手によるモノだろうか。

 

それはさておき、当初巨大タワービルの「予定地」であっただけに、相当な広さのあるモールのようだ。

観覧車まである。

 

営業時間外で、通り抜けはできそうにないか。しゃーない、通り沿いに外から眺めよう。

こちらは大阪臨海線に面したエントランスだ。

 

観覧車の横まで来た。

どんつきはもう少し先だが、そこにスーパー銭湯があるらしい。突撃したい所だが、残念ながら夜12:00までの営業だ。

 

このショッピングモール「シークル(と言うらしい)」の隣に、これまた小ジャレたアウトレットモールがある。

道路を挟んで向かいにも。

欧米かアラブ圏か、どこかの街並みを模した、といった所だろう。

 

これだけ「いいモノ」を見せ付けられたなら、やはり次回はこれらのお店(もちろんーパー銭湯も)の営業時間中に訪れたいと思うのが人情というもの。

 

なんだろう。のほほんと空き地を放置している南港コスモと比べ、こちらりんくうタウン、魅力的なエリアにしようとみんなで頑張ってる感がもの凄く伝わってくる。先ほどからの頬も緩みも止まらない。

 

あちら南港コスモ、三つの人工島は、バブル熱に浮かされ、さして必要もなく造成の始まった土地だ。ならばバブル崩壊でコケ、オリンピックでコケ、万博でコケ(?)、さらにカジノでコケ(?)たなら、また次なる「演し物」で楽しませてくれたら良い。大阪市は財力もある。ゲーム感覚、それこそカジノなどと言ったトンデモプロジェクトも、かの土地に限っては大いにアリかも知れない。

 

一方こちらりんくうタウンのこの充実ぶり、「本来こうあるべきだった」という悲願、目標が明確であり、それに向かって着実に重ねた努力が結実したと結論付ける事ができるであろう。

 

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どこにでもあるモノその①。

どこにでもあるモノその➁。

くどいようだが、あの20年前のりんくう廃墟群を目撃してしまった者に言わせれば、こういったごくありふれた「街角の風景」にこそ目を細めてしまうのだ。

 

おっ!

マニアックなクルマ屋さん発見!昭和55年式の我が愛車を並べて一枚撮りたい所だ。

 

で、そんな我が愛車は今どこに?

ここだ。

 

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前後泊。

 

「日程を1日だけ余分に取り、関空スグ隣の宿で楽しいご旅行に思いを馳せ、または余韻を楽しみませんか?」

 

こちらりんくうタウンを始め泉佐野界隈のホテルや旅館、民宿が盛んに宣伝しているフレーズである。

 

ここ関西圏、実に交通の便が良い。特に都市を跨ぎそこそこの距離の移動が非常に快適である。例えば大阪から120km程離れた福井県敦賀市へ向かう時、この辺りでは新快速という通勤電車を皆利用する。指定券特急券など誰も買わない。で、この新快速、100kmからの距離を移動するのに十二分なポテンシャルを持っている。

 

東北の田舎の出身である私などから見れば、もうあり得ないほど素早い移動が可能だ。

 

関西空港へ降り立ったなら何処へでも、大阪だろうが京都、神戸だろうが、その足で苦もなくサクッと到達できる。これは事実なのだが、バブル崩壊りんくうタウン初期計画が頓挫した頃、心ない自称評論家がその事を引き合いに出し、「誰がりんくうタウンになぞ立ち寄るモノか。」と罵声を浴びせていたモノだ。

 

がしかし、である。旅行好きに聞いてみると良い。この「前後泊」、旅行の全日程中もオイシイ部分であると皆口を揃える筈だ。あの時の自称評論家、サイフも心も貧しい真正貧乏人という事になる。前後泊、余裕があればみんなやりたいのだよ。

 

・・・

 

そこで!頑張ってキレイに生まれ変わったりんくうタウンに、わずかながらでもお金を落とすべく、私のナイトクルーズの「前後泊」モドキ、やってやろうではないか!

 

・・・と言うか、りんくうタウンをひと通り見て回り現在時刻は午前2時半。今から地元西宮へ向かおうモノなら、途中居眠り運転でひっくり返るかも知れない。

 

いやナイトクルーズで泉佐野は遠かった(ホンネ)。

 

一つ困った事に、私好み(身分相応)のビジホや民宿は、少し離れた南海泉佐野駅付近や国道26号沿いに集中していて、ここりんくうタウンエリアには、先程触れた白亜のタワーホテルや、或いはこちら「藤田観光さん」といった高級ホテルばかりである。

三連休のさなか、こんな所で若干高倉健風に「部屋ぁ空いてますかぁ・・・。」などとやろうモンなら、まあ泊めてはくれるだろうが、一泊諭吉何枚ブッ飛ばすか分かったモノではない。

 

そこで、エリア内ピンポイントで一軒だけ見つけたビジホ。

一本裏通りに入る。

 

これが外観。

ホテルには見えない佇まいだ。

 

さもありなん。ネットの口コミによるとこのホテル、撤退した介護付老人ホームを改装してオープンしたそうで、客室やフロアの間取りが変わっているとの評判。うーむワタシ好みである。シングル一泊ソッコー予約だ。

 

写真では分かりにくいが、建物のほぼ中央にエレベーターが向き合う形で2基。それを取り囲むように客室が配置されている。

ビジホの割には広々とした印象の廊下だが、その分デッドスペースが多いという事。空間的効率が悪く、確かにホテルの造りではない。

 

笑。

喫煙ルームがちゃんと用意されてる訳だし、目を吊り上げる事はない。

 

で、部屋の方だが、

キタコレ!ツインルームシングルユース。

 

ホテル側にすれば、当日の空き部屋、半額でも回収してやれという事であり、一方の客にしても人によっては「得した気分」になるかも知れない。本来winwinなのだが、貧乏の私、落ち着かないんだなー、コレ。まあええか。

 

他、大きな窓とシャワーが熱く吐水量も豊富。ビジホ離れしている。これも元老人ホームの名残りか。なかなかユニークな宿だ。リピありかも知れない。

 

元介護付老人ホームだけに、夜な夜な老人の霊が・・・といった楽しい妄想をしつつ、りんくうタウンの夜は更けて行くのであった。

 

明日は国道26号をゆっくり走って帰ろう。

 

読んで頂き、ありがとうございました。