這い上がる!?

工場労働者の日々の小さな煩悩ブログ

怖いおじさん。

お題「人生で一番古い記憶」

こんばんは!

 

幼少時代の古い記憶で、一つ鮮明に覚えているモノがある。いや、もっと古い記憶(多分)もあるにはある。が、どれもこれも文章に起こす事など困難な、曖昧で断片的なものばかりだ。

 

ただ一点、この記憶だけが鮮明に残っているという事は、とりもなおさず、コレが何度も何度も繰り返し起こっていた、と想像される。

 

昼間、母と居間で寛いでいた事から、幼稚園に上がる前の頃と思われる。突然母が言う。「人さらいの怖いおじさんがこっち見てる!隠れなさいっ!」で、阿鼻叫喚で頭をおさえ床に突っ伏す、というもの。

 

床に伏せた瞬間、目や口にゴミが入ってしまったり、ある時など、たまたま同時に地震が発生し、もう飛び上がる程の恐怖感を覚えたり、この記憶に限っては、本当に細かい所まで良く覚えている。

 

やがて成長し大人になるにつれ、この記憶について、どんどん違和感を覚えるようになる。何やら得体の知れない話である。「人さらい」って・・・。

 

単に子供を怖がらせる他愛もない遊びだったなのらそれで良い。が、母がこのセリフを口にする時、それはもう語気鋭く、床に伏せた私の頭や背中を掌で軽く押さえる事もしばしばであった。

 

窓の外を見遣った時、たまたま通りかかった通行人と目が合ったとしよう。果してその程度で子供を床に押さえ込む事があろうか?もし私が同じ立場だったら、イヤ思いもよらぬ行動と言わざるを得ない。

 

そしてあの時見上げた母の表情だ。いつも物凄い形相で窓の外を睨んでいた。「通行人」どころか、まるで不審者が我が家の窓にべったりと額をこすり付け、中を凝視でもしているかのようなリアクションだった。何が怖いって、その母の鬼の形相であった。

 

・・・

 

私が幼少時代最も恐ろしかったもの、当然この姿も形も見た事のない「人さらいのおじさん」である。童話「ジャックと豆の木」に出てくる大男が嫌いであった。恐らく私の中で、この「人さらいのおじさん」と似通ったイメージがあったのだろう。

 

「人さらいの怖いおじさん」その正体、一体何だったのだろうか。

 

当の母ごぜも今やすっかり高齢で、少々ボケも回ってきており、直接問うてみた所で何のヒントも返って来るまい。もう全て藪の中だ。

 

一つ楽しい妄想を付け加えるなら、家族の中で一人だけ、母は昔から霊感があると思われるフシがあった。

 

読んで頂き、ありがとうございました。