這い上がる!?

工場労働者の日々の小さな煩悩ブログ

「店」レポ。

こんばんは!

 

ブログを始めて以来、初の「店レポ」挑戦である。

 

私は週末の夜、バイクで近場を走り、寝静まった街の表情を普段ブログ記事に上げているのだが、過去に大阪飛田や神戸福原といったガチもんの風俗街を度々取り上げた。

 

(過去記事)

hungryman888.hatenablog.com

 

hungryman888.hatenablog.com

 

理由はシンプルである。やはり「夜の街」は夜に映える。例え店を閉めた後であっても、明日の早番営業に備え、灯りが完全に落とされる事はない。つい今しがたまで元気に客を迎えていた、その「残り香」を存分に楽しめる。

 

しかも飲み屋が主体の歓楽街のようにゴミや汚物が散乱しているような事もなく、むしろ「グレーゾーン」の商売であるが故か、営業時間終了後の風俗街という奴、実にきちんと清掃整頓がなされている。

 

そこに「元締め」「ゴッドファーザー」的な者の存在がいやおうにも感じられ、やはり怖い感じはするのだが、それがまた独特の空気感を醸しており、興味をそそられる(アングラサブカル臭に目がない)。

 

・・・

 

賑やかな営業時間中の写真撮影は厳禁、トラブルの元である。そこで営業時間終了後に訪問し、街の風景をスマホカメラに収め、散策を楽しんでいた。しかしこの態度に、どこか「高見の見物」「理解ある傍観者」的な臭いも感じられ、自分自身少し嫌な感じもしてはいた。

 

とは言え、私のような薄給労働者にとって風俗遊びなど高嶺の花。応援したい気持ちはあっても無い袖は振れないのだ。そこでむしろ堂々と「傍観者」を決め込む事ができたという訳だ。

 

ところが先日、迂闊にもストリップ劇場を取り上げてしまった。

 

どどん!

さあこれはもう、「金がないから」という逃げ道は、ない。

 

やはりこちらも館内風景等を撮影しブログに上げるなどほぼ不可能。私の下手な作文のみで一体どこまで表現できるのか不明だが、それでもフツーの店のレポなんぞ書く意欲も湧かない。ひねくれ者である。

 

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ルール作法と言うほど大袈裟な物ではないにしろ、そこは特殊な商売。「観方楽しみ方」が確かに存在するようで、やはり少し「予習」はしておいた方が良さそうだ。

 

ネットで検索をかける。

 

ストリップファンでストリップに関する情報を発信しておられる漫画家、イラストレーターたなかときみ先生がヒットする。

 

たなか先生の記事、特にストリップに「まだ行った事のない人」向けのガイド記事が多く、非常に有用。ただ難点として漫画家である先生の記事、PCの画面を通すと、歳取って視力の衰えたこの目ではどうも見づらい所があるのだ。

 

よし、ではたなか先生の著書を一冊頂くとしよう。「ストリップをよろしく ~初心者・女性にやさしいストリップ劇場入門~」ふむ、これが良い。先生の最新刊でもある。

 

通販で手元に届いたこのガイドブック、果たして最近ちょっとお目にかからない、オールカラーの豪華本であった。これ売れば売るほど赤字では、と余計な心配もしつつ。

表紙には人気ダンサーとおぼしき方のステージショットがバーンと載っているので、見返しで。

 

なにぶん、一回ショーを観ただけの初心者である。分からない事も多い。ストリップ(業界)の「システム」については、主にこのたなか先生の記事著作と、大阪東洋ショー劇場のHP、パンフチラシ等を参考にさせて頂いた。

 

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記事冒頭でも少し触れたが、まず驚かされるのはその料金設定である。

 

(東洋ショー劇場の場合)

 

・開場 11:30 ・開演 12:00

 

・公演

1回目 12:00~14:20

2回目 14:40~17:00

3回目 17:20~19:00

4回目 20:00~22:00

 

・料金

一般4500円(撮影もしくはドリンクチケット1枚付)

プリペイド3500円

深夜(20:45以降入場)2500円

撮影、ドリンク 各500円

 

ざっとこんな感じ。5人の踊子さんが順々に演目を披露し、全員踊り終えた所で1回目の公演終了。これが1日4セット繰り返される。ちなみに「撮影」とは演目終了後に行われる踊子さんとの記念撮影の事。これが1回500円という訳だ。

 

1回の公演終了毎に座席の入れ替えが行われるが、これはステージと客席の清掃消毒のため。その間客はロビーで待機し、清掃が済み次第また客席に戻り2回目、3回目のショーを楽しむという流れになる。

 

つまり4500円払って入場すると、昼12時から夜10時まで、それはもう腹いっぱいになる位ショーを堪能できるというワケだ。風俗産業離れしている事は言うまでもなく、秒単位分単位のコスパでは映画でも太刀打ちはできない。

 

しかも「外出証」なるものをフロントで随時配布している。これは一旦入場した後、例えば外で食事等を済ませ、再入場が可能であるという事。追加料金は不要だ。

 

とにかく昼の開演からラストまで、時間の許す限りショーを楽しむ事が勧められている。これは、一日の公演で複数の演目を披露する踊子さんが非常に多い事に由来する。

 

大らかなりし昭和カルチャーここに息づいている。

 

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阪急西宮北口駅に来た。

天神橋筋商店街スグ横の劇場周辺、今頃は歩行者に自転車、路駐、迷惑駐輪で溢れ返っている事だろう。今日は大人しく電車クルーズだ。

 

しかしこんな明るい昼間から「風俗店」に向かうとは何やら変な感覚だが、年中無休で真っ昼間からやってます、と言うなら行ってやらねば。

 

どひゃー!!!

ここは阪急梅田駅とJR大阪駅の連絡通路。この人ごみの先には、車椅子を利用する方の間で「要塞」と悪名高きJR大阪駅が待つ。健常者でも大阪駅構内はマジでしんどい。

 

私は普段、深夜未明にバイクで走り、夜の街の表情をブログに上げているが、その時間空間の何と快適な事よ。無気力ライダー、故に夜走るのだ。

 

大阪環状線天満駅天神橋筋商店街

昼間の表情だ。

 

おっ!開いてる開いてる(当たり前か)。

若い頃、「行こか戻ろか」この手の「店」の前で躊躇した事も懐かしいが、つくづくええオッサンになったモノである。写真1枚撮る余裕かましてサクッと入場だ。

 

それでは、イチゲンシロウトのストリップ観劇所感、いってみよう。

 

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総評、一言インプレから。

 

「健康的な女性美を鑑賞する会」

 

良くも悪くもこれ以上の物ではない。客も踊子さんも笑顔でショーを楽しんでいる。可愛い踊子さんの衣装とダンスを楽しむのがメインで、ヌードはついでといった印象。むしろライトな大衆演芸と言える。女性客の姿もあった。

 

いつぞや付き合いで鑑賞した小劇団の公演にも似た雰囲気であり、言うなれば「オヂサン連中の地下アイドルイベント」、思いつく例えとしてはこれが最適であろうか(ハタ目にはそれも充分キモいのかも知れないが)。

 

当初シロウト頭で想像していた、パンチパーマに蝶ネクタイ、ダミ声の司会者もいなければ、股間から火を吹くダンサー(さすがにコレは都市伝説か?)なんてのも登場しなかった。

 

尚、こちら東洋ショー劇場では、常連客による鳴り物や紙テープも禁止である。私のようなイチゲン客でも快適にショーを楽しめるようにとの劇場側の配慮であろう。

 

ワタシ的には、「昭和レトロ」で売るなら「鳴り物」や「パンチパーマの司会者」は是非とも欲しい所だが、まあええか。とにかく、あっけらかんとしていて毒がない。前衛舞踏家(劇団)の演目の方が余程過激でドギツい感じがする。

 

ストリップ衰退の一因となった風営法の縛りも、(個人的に)お気の毒と言えるレベルだ。

 

・・・

 

今日は10月31日、平日だ。昼12時の開演時点での客の入りは、パッと見6割位。2回目3回目と公演が進むにつれ徐々に客が増えて行き、22時のフィナーレ時には8~9割程の客席が埋まっていた。週末ならば間違いなく立見が出るであろう。

 

昭和の最盛期に比べ、業界全体の衰退ぶりは繕いようもないが、個々の劇場ではそこそこ集客が出来ている様子である。

 

非常に好印象だったのが、音楽がウルサ過ぎない点。特に劇場に足を踏み入れる寸前まで心配していたウーファーのボディーブロー。コレが来た日にゃ、とてもじゃないが長時間の観劇なんぞムリというモノ。

 

踊子さんの華麗なダンスに心地良い音楽。時折、ポカンと口を開けステージを見上げているであろう私のマヌケヅラに、ミラーボールに反射されたカラフルな照明が当たる。ああ、昭和カルチャーここにあり、と思う。

 

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本演目終了後に開催されるオープンショー(アンコールステージ)。踊子さんが再び登場し、投げ銭(おひねり)をおねだりして回る楽しいステージだ。

 

これこれ!

 

火を吹く踊子もパンチパーマの司会者ももういない以上、最もストリップショー「らしい」パフォーマンスではないか。

 

しかし残念ながらここで、イチゲンシロウト目線での苦言を一つ。

 

投げ銭が少ない。

 

幸い私の席のすぐ近くに、非常に良い常連さん(?)が座っており、彼は全ての踊子さの全ての演目に投げ銭を入れていた。よし!私も負けてはいられない。このおっちゃんと先を争って舞台下に走り、盛大に散財してやった(つくづく男ってアホだ)。

 

しかしこのおっちゃん含め、特定の客しか投げ銭を入れない感じ。普通にアカンやろ、これ。

 

細く縦二ツ折りにした千円札をステージに向かって差し出すのが流儀らしいが、様式や金額は問題ではない。これは「いいステージでしたよ!」という意思表示である。

 

一演目終え、顔や背中がうっすら汗ばんでいる踊子さんに投げ銭の一本も入れるのが、ファンとしての礼儀、矜恃という物ではないだろうか。

 

そもそもこれ、客参加型の立派なショーの一部である。投げ銭が少ないと、見ていてまずいのだ。踊子さんがおひねりの回収に手間取り、音楽が終わってもなかなか舞台の袖に下がれない、こう来なくては!

 

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この日は東洋ショー劇場所属で元人気AV女優、あらきまいさんのストリップデビュー9周年(えらい長いことエロ業界で頑張ってるな)記念興行であった。

 

印象に残る踊子さんとして、ルックスが好みだったのが1番手の空まことさん。オープンショーでは腰に回したゴム紐に差し入れられた千円札を挟んで踊る、この伝統的思われるスタイルで楽しませてくれた。

 

4番手の笠木いちかさん。登場の瞬間にパッと空気が華やぐ感じ。小柄ながら「大物」のオーラが凄い。あらきさんの周年興行という事で4番手出演だが、恐らく通常興行ならばトリを張っているような子であろう。

 

そして元AVスター貫禄の「大トリ」。周年記念興行という事で、普段より一枚強力なメンバーで揃えていたのかも知れない。シロウト目にも、とても豪華で楽しいステージであった。

 

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本演目とオープンショーの後で踊子さんとの記念撮影タイムとなるのだが、東洋ショー劇場では3人目と5人目の演目終了後に「まとめて」行われる。現存する劇場の中で、やはりここは「大箱」の部類に入るようだ。

 

踊子Aと撮影を済ませた後、踊子Bの列に並び直すといった具合に、客はあっち行きこっち行きと割と忙しい。某有名アイドルグループの握手会なる物も、これの巨大バージョンであろうか。

 

ステージはまだまだ続く。本日の予算は投げ銭の方に割き、撮影タイムはパスする腹づもりであったのだが、ここでたなかときみ先生の著書に登場した人気ダンサーのインタビューが頭をよぎる。

 

過去に休業していた理由として、「ポラが売れなかったのがきつかったですね。」

 

投げ銭が少ないと文句を言うなら、撮影会の方も参加するのが筋、という事か。よし、こんなお祭りのように楽しく華やいだ会場で、どうしてシブチン決め込む事などできようか(本当に男ってアホだ)。

可愛い踊子さんの顔を塗り潰すのは心苦しいのだが、念のため。代表してこちらがデビュー9周年記念の元人気AV女優さん。

と、その元AVスターを喰っていた4番手出演の猛者。

楽し気な雰囲気だけでも。

 

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あくまで現代の感覚で見ると「ほのぼのとした楽しいショー」となるが、娯楽の少なかった昭和の頃は、それはそれは刺激的なエンタメだったのだろう。

 

子供だった私にとってリアルな「昭和」、駄菓子屋に屋上遊園に、皆消えて行った。一方当時は見知らぬ、現在も尚脈々と息づく「大人の」昭和カルチャーである。

 

最盛期の頃、案外実在したのかも知れない股間から火を吹く怪ダンサー」に思いを馳せつつ。

 

読んで頂き、ありがとうございました。